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第58回選抜高校野球大会 昭和61年 1回戦 浜松商(静岡)対PL学園(大阪)
浜松商としては2年連続の選抜出場となったこの大会。初戦の相手は前年と同じPL学園。前年に対戦したチームは言わずと知れた、桑田,清原のKKコンビを中心としたチームで、1−11と完敗している。KKが抜けたとはいっても、PL学園である。何しろ、この大会を迎える時点で出場20回中、初戦敗退はわずかに3回しかない常勝チーム。
試合当日、浜商ナインは午前5時に宝塚市の宿舎・若水から市営球場まで2.5キロを走り、そして1時間半の練習を行った。ランニングは宿舎入りしてからの日課だったが、普段どおりにランニングを行ったところに、「いつもと変わらず試合に臨む」、「PLとやるのではなく、”ただの”ゲームをやる」と言い続けた上村監督の思惑がうかがえる。 2回、浜商は飯田の四球と大庭の二塁打で、無死ニ、三塁の先制チャンスを掴むと、続く宮田のレフト前タイムリーと大橋の一塁ゴロで2点を先制。3回には安打と野選で出した2人の走者を、飯田のレフト前タイムリーとレフトのエラーで還し、リードを広げる。さらに8回には左中間三塁打で出塁の寺田を三塁に置き、小出がライトへ犠牲フライを放って5点目。PLはここで月城投手から深瀬投手に交替するが、浜商の勢いは止まらない。中山の三塁打、飯田のセンター前タイムリーで6点目。大庭死球で一、二塁とした後、宮田のショートゴロをショートが悪送球する間に7点目。さらに鈴木雅が犠牲フライを放ち、だめ押しの8点目。 安打を放った2、3、8、9回のうち、9回以外は全て得点するという効率の良い攻撃を見せた浜商に対して、PL学園は4回以降は11安打を放ち、毎回のように得点圏に走者を進めながらも1得点。スライダー、シュートでコーナーを丹念に突く大庭投手に要所を締められた。大庭投手は、前年のPL戦にも登板しており1回2/3で4失点の屈辱を味わったが、見事にその雪辱を果たした。 PL学園は4失策。本来、エラーで自滅するチームではないだけに、あちこちから「PLらしくない」との声が聞こえた。昨年までのイメージが残っている中村監督は「最後のバッターがアウトになるまで、負けるとは思わなかった」と語ったが、反撃の糸口を見つけることもできなかった。PLはこの試合でベンチ入りした15人全員が試合に出場しており、その苦しさを物語っている。「やはり、この背番号は重すぎます。先輩方に合わせる顔がない」(月城投手)、「先輩の作った伝統に泥をぬってしまって、申し訳ない気持ちでいっぱい」(吉田主将)といったコメントからも分かるように、KKの残した偉業は相当なプレッシャーとなっていたようだった。 一方、難敵を下した浜商だったが、2回戦の広島工戦ではPL戦とは打って変わってチグハグな攻めで、1−2と敗れてしまう。上村監督は広島工戦後の談話で「大物を倒してホッとしたわけではないんですが。タガを締めようとしても、一度緩んだものは…」と敗戦の弁を語っている。PL学園という名の重圧は味方にとっても敵にとっても、大きなものであった。 (文中敬称略) [参考] 月刊高校野球マガジン昭和61年5月号,ベースボール・マガジン社,1986年 |
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※テーブルスコアの見方 投=ピッチャー、捕=キャッチャー、一=ファースト、二=セカンド、三=サード、 遊=ショート、左=レフト、中=センター、右=ライト、 安=ヒット、2=二塁打、3=三塁打、本=本塁打、 ゴ=ゴロ、直=ライナー、飛=フライ、邪=ファウルフライ、 ギ=犠打、犠=犠牲フライ、併=併殺打、失=エラー、野=フィルダースチョイス、振逃=三振振り逃げ |
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