浜商名勝負シリーズ(浜松商応援サイト・ヒットエンドラン)
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高林選手、大会史上初の
逆転サヨナラ本塁打
第57回全国高校野球選手権大会 昭和50年 2回戦
浜松商(静岡)対石川(沖縄)
 

石 川      
浜松商 2X      

 沖縄代表がはじめて甲子園の土を踏んだのが昭和33年の首里高校。その首里が昭和38年の夏に全国大会初勝利を挙げると、昭和43年夏の第50回大会では興南が沖縄勢として初めてのベスト4進出。この昭和50年の春の選抜では豊見城が赤嶺投手を擁してベスト8に進出。豊見城は準々決勝で原辰徳、津末英明擁する東海大相模に1−0とリードした9回2死無走者から
逆転サヨナラ負けをしたものの、野球後進県であった沖縄県のレベルが全国レベルに近付きつつあることは明らかだった。夏の代表となった石川高校は、沖縄勢として春以上の成績を、という県民の期待を背負っての出場。初戦で新潟商を下しての、この浜商との対戦だった。

 浜商は静岡大会でノーシードからの快進撃。6試合中5試合が逆転による勝利で甲子園出場。当時の静岡県代表といえば、まさに野球王国と呼ぶにふさわしい実績を残していた。興南がベスト4入りした昭和43年には新浦投手を擁する静岡商が全国準優勝、昭和48年の夏の静岡高の全国準優勝を経て、豊見城がベスト8入りしたこの春の選抜でも、静岡商、掛川西が出場し、2校揃ってベスト8入りしていた。

 試合は序盤から、石川のペースで進められる。浜商は初回に細田薫投手の立ち上がりを攻められ、1回2死三塁から喜納にタイムリー、鈴木貢投手にスイッチ後の2回には2死二,三塁から久高にタイムリーを打たれ3失点。浜商はさらに4,7回に1点を失うものの、6回に1点、7回に高林基久のタイムリー二塁打で2点を返し、その差を1点にまで縮めた。
 9回表に1死一,三塁のピンチを迎えるも、鈴木投手が踏ん張って、7番の若津を浅い当たりライトフライ、8番の伊波をセンターフライに打ち取る。9回裏の浜松商最後の攻撃。先頭の伊藤博の打球は二塁後方への浅いフライになると、これを右翼手がグラブに当てて落としてしまう。1番の犬居進が送って1死二塁。続く山本雅治は三塁フライに倒れ、遂にツーアウト。
ここで7回に追撃の2点タイムリー二塁打を放っている高林が打席に入る。
初球はアウトコースへ外れてカウント0−1。劇的な瞬間は次の瞬間にやってきた。
 
 {NHKラジオの実況音声より引用}
 2球目を投げました。…(カン)打ちました。
ライトフライ、…これは大きいぞ、ライトずーっとバック、なおもバック。どうか、入るか、
はいった…ホームラン! (※注1)

サヨナラホームラン!!

ぎゃくてんサヨナラホームランであります!!

大喜び、全選手が出てきました。三塁を周って両手を挙げている高林。
今、ホームに向かっている、ホームイン!
抱きついた、一塁手の坂口が抱きつきました。

〜校歌斉唱後〜
それにしても驚きました、浜松商業の粘り。
なお高林選手の、逆転サヨナラホームランというのは、大会史上、初めてだそうであります。
この長い歴史の上で、初めてだそうであります。{引用ここまで}

 石川・糸数投手の投じた2球目はインコースのストレート。
インコースにヤマをはっていた高林選手が、待ってましたとばかりに強振すると
打球はライトのラッキーゾーンに飛び込む劇的な逆転サヨナラ本塁打となった。

ちなみに、劇的な勝利で3回戦に進出した浜松商だったが、
この後の3回戦で天理の強打の前に力尽きている。

 (※注1)ラジオ音声ではこの部分に、机を叩いているらしきドンドンドンという音が聞こえていた。
アナウンサーもしくは、周囲の誰かがかなり興奮していたと推測される。
それだけ興奮する場面だったということでしょうね。

(文中敬称略)

[参考]
・ アサヒグラフ9・5特別増大号「甲子園・熱闘譜」,朝日新聞社,昭和50年
・ 東京都の I さま提供の資料
 資料に乏しく、テーブルスコアや、中盤までの詳細経過などが不明です。ご了承ください。
石  川
(6) 泉 川
(8) 久 高
(4) 伊波哲
(3) 喜 納
(1) 糸 数
(2) 伊 芸
(7) 若 津
(5) 伊波増
(9) 伊波幸
 残塁12 34 10
浜 松 商
(6) 犬 居
(4) 山本雅
(9) 高 林
(3) 坂 口
(7) 牧 野
(8) 山本常
(2) 上 村
(1) 細 田
鈴 木
(5) 伊 藤
 残塁7 31
本塁打−高林(浜)、二塁打−久高(石)、高林(浜)
暴投−細田、鈴木(浜)、併殺−石1、浜1

投手

打者

糸 数

8 2/3

39

             

細 田

0 2/3

鈴 木

8 1/3

39

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