大会No.1左腕という評判の木暮投手は、1回戦の豊見城戦の初回に1点を失って以来、準決勝まで26イニング連続無失点中。
攻撃でも中軸を打つ阿久沢が早実・王貞治以来20年ぶりとなる2試合連続本塁打中と投打の中心が活躍し、
優勝候補に違わぬ強さを発揮してきた桐生が有利という下馬評で試合は始まった。
　１回表、浜商は１死後、右前安打で出塁した森下を青野が送ると、４番の小沢が右前適時打を放ち先制。
と同時に桐生の木暮投手の連続無失点記録が26でストップ。
しかし、１回裏、浜商は先発・樽井投手が乱れる。右前安打、四球、死球で１死満塁となったところで
磯部監督はすかさず遊撃の青野をマウンドへ。青野は後続を内野ゴロ失策による１点のみで切り抜ける。
　1対1のまま迎えた４回、浜商は先頭の小沢が左前安打で出塁。続く山田のバントに投手のエラーが絡み無死一，二塁。
この後、小沢が三盗に成功しチャンスを広げると、大塚がスリーバントスクイズを決めて勝ち越しに成功。
　樽井の後をリリーフした青野が好投を続けていたが、５回の攻撃でその青野が右ヒジに死球を受けて退場するアクシデント。
５回裏の守りから、外野にまわっていた樽井が再びマウンドへ。
初球がワンバウンドになり、やや不安定さが見えたもののこの回は無失点。
６回裏、先頭の阿久沢に死球、木暮に左前安打され、無死一，二塁のピンチ。
ここでバントシフトを敷こうとする浜商内野陣が隙をつかれ、二塁走者の阿久沢に三盗を許すと、
直後に、和田にスクイズを決められて同点とされる。
同点にはされたものの、樽井投手が後続を連続三振にしとめて勝負は終盤へ突入。
　７回表、死球で出塁した鈴木保を田村が送って、２死二塁。
ここでこの日、２打数２安打の小沢が見事に左前へはじき返し、二塁走者の鈴木保を迎え入れる。
　再びリードをもらった樽井投手だが、１、６回と同様に８回に桐生の中軸打者に対して苦しい投球を強いられる。
この回は阿久沢、木暮の連打と犠打により１死二，三塁。
しかし、打者・間弓の時のスクイズを見破り三塁走者を狭殺すると、間弓を二塁ゴロに打ちとってピンチ脱出。
最終回の桐生の反撃は三者凡退に抑え、１点差をしのいだ。(文中敬称略)

[参考]
昭和53年4月5日付　朝日新聞
毎日グラフ臨時増刊1978．4．20　「第50回センバツ高校野球総集編」、毎日新聞社
週刊ベースボール増刊「第５０回選抜総決算号」、ベースボールマガジン社
(注)スコアテーブルは神奈川県のIさん提供の情報を基に作成しました

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