浜商名勝負シリーズ(浜松商応援サイト・ヒットエンドラン)

　この年の浜商は静岡大会でノーシードだったが、バント、盗塁、エンドランなどの機動力を駆使して奪った少ない得点を
岡本将秀投手の粘り強い投球と山下晃永遊撃手、森口毅二塁手らを中心とした堅守で守り抜くというパターンで勝ち進んだ。
決勝では佐藤秀樹(のち中日、西武、ヤクルト)擁する富士宮西との静岡県高校野球史上に残る激闘を制しての甲子園出場。
甲子園大会に入っても初戦(2回戦)の池田戦を延長14回サヨナラ勝ち、3回戦では東の横綱と評判が高かった拓大紅陵に
これまた1点差勝ちと勝負強さを発揮し、浜商としては昭和55年以来8年ぶりのベスト８進出。

対するは栽弘義監督率いる沖縄水産。沖水もまた走者をバントや盗塁で進めて着実に得点を狙う機動力のチームだった。
なお、沖水は前日の３回戦最後の試合に登場、降雨中断などの影響もあり、試合終了が20時前。
第１試合開始が８時であったため、沖水はわずか12時間の間隔で試合をすることになり、コンディションが不安視されていた。
ただ、翌日は天気は快晴となるも、明け方までの降雨によるグラウンドコンディション不良のために
試合開始は１時間遅れの午前９時となった。

序盤は沖水ペースで試合が進む。１回２死一、二塁、２回２死二塁など毎回のように走者を得点圏に進められる。
しかし、浜商・岡本将秀投手が粘り強い投球でピンチを切り抜ける。
浜商は３回表、無死から左翼線二塁打で森口毅が出塁すると、
山田紀麿が犠打で送って１死三塁。続く岡本投手がスリーバントスクイズを見事に決めて先制。

試合は１－０のまま、早いテンポで進んでいった。この間、沖水に何度かチャンスを掴まれるが、決定打を許さず９回へ。
追加点が欲しい浜商は、９回表に久々にチャンスを掴む。
４番・鈴木光敏の安打、５番・加藤佳孝の遊ゴロ失策で１死一，三塁。
しかし、後続が沖水・平良幸一投手の前に連続三振に打ち取られ、リードが１点のまま９回裏を迎える。
　この回、左前安打で出塁の唐間勝吉を犠打で二塁に進められた後、上地哲司の左前安打で同点とされてしまい、
その後、山川光浩にスリーバントを決められ、２死ながら走者二塁で今度はサヨナラのピンチ。
次打者、上間孝史を迎えて岡本投手は強気で向かっていくが、
ファールで粘られた後の７球目に投じたカーブをライトに打ち返され、無念の逆転サヨナラ負け。
勝利を目前にしながら、これまで相手を泣かせてきた粘りに逆にやられる結果となった。

昭和40年代から50年代にかけて全国ベスト８の常連だった静岡県勢だが、
この試合を最後に甲子園大会の準々決勝に顔を出していない。
(文中敬称略)